TOP > インタビュー > 『レッドクリフPartT』 トニー・レオン インタビュー

インタビュー

『レッドクリフPartT』 トニー・レオン インタビュー

『レッドクリフPartT』 トニー・レオン インタビュー
INTERVIEW
『レッドクリフPartT』
トニー・レオン
『男たちの挽歌』や『ミッション・インポッシブルU』。香港でもハリウッドでも、独自のアクション美学を貫いてきたジョン・ウー監督。そんな監督が、長年の夢だった「三国志」を全2部作で映画化。それが、今週末から公開される映画『レッドクリフ PartT』。「三国志」の「赤壁の戦い」を壮大なスケールで描いたこの作品で、孫権軍を率いる“周瑜”を演じているのが、トニー・レオン。前作『ラスト、コーション』で新境地を見せた彼が、この作品では、長年ぶりに朋友ジョン・ウーと組み、彼ならではの武将像を築き上げている。そんな周瑜役への思とは―?

『三国志』の名将、軍師をめぐって

『三国志』の名将、軍師をめぐって
(C) Bai Xiaoyan

―トニーさん演じる“周瑜”と金城武さん演じる“諸葛孔明”のやりとり、面白く拝見しました。
「僕なりに考えた、このふたりのいちばんの違いは、周瑜の方は非常にモラルや責任感があって、何をするにも周りのことを考えて心配する人物だということ。背負っているものが多いんですね。一方で、諸葛孔明はそういうものにまったく縛られない人物。彼は単なる劉備の軍師。だから、何をやっても自由で、こだわりがない。そこが、一番の違いだと思うんです」

―なるほど。
「これは僕の予想ですが、孔明はジョン・ウー監督の理想像なんじゃないかと。でも、実際には監督は周瑜なんです(笑)。現場での監督は、何に対しても心配して、責任を感じるんですよね。ここで失敗したら、スタッフにも役者にも、投資者にも迷惑をかけ、最終的には観客の皆さんにもご迷惑をおかけしてしまう…と。だから、監督は何をやっても使命感があって、軍事家のようでした」

―トニーさんご自身は?
「監督が孔明になりたいのに、周瑜をやっているように、僕も周瑜を演じていますが、孔明になりたい(笑)。何にもこだわることなく、自由にやれるから。でも、曹操でもいいかもしれませんね。彼もモラルの点では、何も背負っているものがない。目的を達成するためなら手段も選ばず、他人の気持ちなんて考える必要もないし(笑)。軍事家の役って疲れますよね(笑)」

現場でのスタイル

現場でのスタイル

―周瑜役については、現場で監督とどんなやりとりが?
「たとえば、金城さんは色々なアイディアがあって、それが浮かぶと、すぐに監督に提案してやっていく。でも、僕は現場では何も言わないんですよ。監督が「こうしてください」と言ったら、「はい、そうします」と。アイディアがあっても口では言わず、黙って演技に取り入れてしまうんです」

―そういうやり方が身についたのは?
「テレビ局で仕事をしていたときからなんですよ。デビューしたての頃は、有名でもないし、現場で監督に口答えなんてしたら怒られてしまいますよね。でも、役者は皆、自分はこうやりたいというのがあるものですから、静かに革命をしようと。黙って自分の考えを役作りに取り入れて演じる。それが、いつの間にか習慣になったようです。映画は監督のもの。監督の創作の方向性がありますから、その方向性に反するやり方をしてはいけない。僕が役者としてできることは、方向性に沿ったやり方で、何かそれにプラスになることをする、そういうことだと考えています」

映画出演は、縁

映画出演は、縁

―トニーさんのそういった姿勢は、作品の出会いにも共通しますか?
「映画出演は縁だと思いますね。縁があれば、いろいろな作品に出会えると思いますし、計画していっても、出会えないときは出会えない。この20数年間、そういう考えで、縁に任せて来ています」

―これまでも様々なご縁があったと思うのですが。
「もちろん、ほかの監督にも影響を受けたんですが、ホウ・シャオシェン監督(『悲情城市』ほか)、ウォン・カーウァイ監督(『花様年華』ほか)、アン・リー監督(『ラスト、コーション』ほか)には特に大きな影響を受けました。この3人の監督と仕事していると、ひょっとしたら、もっとこんな演技の組み立て方もあるんじゃないかと、新たなやり方に気づくことがよくあるんです。僕は、ひとつのやり方にこだわらず、どんどん変化していきたいんですね。いつも何か新しいことをしようと考えているので、こういった監督たちとの出会いには、すごく大きな影響を受けましたし、色々な面で変化してきたと思います」

ジョン・ウー監督との仕事

ジョン・ウー監督との仕事

―では、今回のジョン・ウー監督は?
「この映画は「団結」がテーマのひとつですよね。ジョン・ウー監督は、そういう姿勢を感じさせるんですよ。現場も、そういう雰囲気で。最初、僕は監督に「どうして、この映画を撮るんですか?ものすごく大変じゃないですか。完成できるんですか」って言ったんです。でも、現場に行って監督の姿を見ていると、彼はどんな困難な局面に直面しても、とにかくそれを乗り越えようとする。非常に楽天的なんです。彼とは正反対で、僕は非常に悲観的な人間なので、今回、この映画に参加して、監督の前向きな態度には影響を受けました」

―いろいろな監督との出会いが…
「僕は非常にラッキーなので、いろいろなすばらしい監督と出会うことができて、彼らによって、ますます僕は映画に憧れて、映画に対して新鮮な感じを常にもっていられるんですね。たとえば、こういうすばらしい監督と出会うと、考え方も変わるんですよ。僕は1本の映画に出て、ああ、ここがトップだなと思ったら、そうではなく、別の監督がもっと高いところがここにあると教えてくれる。その高みと自分の間にすごいギャップを感じさせられますから、それが目標となって、ますます映画への情熱が高まって、常に映画に新鮮に向かえるんですね。そういう映画に対するパッションが、映画の仕事の原動力になっていると思います」

次の役に逃げ込むだけの話

次の役に逃げ込むだけの話

―出会いといえば、役との出会いもありますよね。今回演じられた周瑜役は、もう抜けたのですか?

「実は非常に矛盾した話なんですが、役者としては撮影が終わったら、早くその役から離れたい。だから、クルーの人にも誰にも会いたくない。この話も聞きたくない、映画も観たくない。けれど、インタビューがあるから(笑)、離れたか、離れていないのか、私もよくわからないんですよね。演じた役は、どのキャラクターも、僕自身とその役とのミックスだと思って頂いていいかと思うんですが、時々、撮影が終わっても、いま自分が本当の自分なのか、それともまだ映画の中の役でいるのか、わからなくなって、混乱してしまうことがあります。これは多くの役者が抱える、共通の問題かもしれません。
去年、ヨーロッパで『ラスト・コーション』のプロモーションをしたんですが、ポマードで髪を整え、60年代の衣装で、相手役のタン・ウェイと歩いたら、その瞬間、なぜか『花様年華』のメロディが流れてきたんです(笑)。すると、歩くリズムも違ってきて、『花様年華』のあの役のようになってしまって、自分でも何なのだろうと(笑)。役者ってそんなものなんですよね。そういう意味では、自分の演じた役から永遠に離れることはできないんでしょうね。僕の場合は、とにかく1本終わったら、次の役に逃げ込むだけの話なんだと思います。ちょっとした出来事や、音楽、その日の天気、そういう何気ないことで、ポンと昔の役が出てきて、その役になってしまう。そういうことが、よくあります。だから、その悲しみから離れたことがなかったんですね」

たくさんのインタビューにお疲れのはずなのに、インタビュー中、終始、穏やかな笑顔だったトニーさん。今回の作品は、準備期間が少なかったため、ウォン・カーウァイ監督の撮影スタイルのように、現場で周瑜役をつかんでいったといいます。ジョン・ウー監督の作品は男臭い迫力がありますが、トニーさん演じる周瑜、金城武さん演じる諸葛孔明の優雅で精神的に研ぎ澄まされた空気感も、この映画の魅力なのではないでしょうか。
(取材・文・写真(会見):多賀谷浩子)

『レッドクリフ PartT』
11月1日(土)日劇1ほか全国ロードショー

関連リンク


ボルト公開記念 豪華賞品プレゼント 「犬と私のいい話」キャンペーン

映画ブログ

powered by hottrash.com

ニュース

>> 一覧へ

興行ランキング

オススメコンテンツ