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インタビュー

『ラスト、コーション 色、戒』 プロデューサー、ビル・コン インタビュー

『ラスト、コーション 色、戒』 プロデューサー、ビル・コン インタビュー
INTERVIEW
『ラスト、コーション 色、戒』プロデューサー
ビル・コン
『ラスト、コーション 色、戒』のプロデューサー、ビル・コンさん。名前を聞いてピンとこない人も、ビルさんの手がけた作品を聞けば、「あぁ」と思うのではないでしょうか?たとえば、金城武主演の話題作『LOVERS』を手掛けたのも、ビルさん。そして、日本でもヒットした韓国映画『僕の彼女を紹介します』も、然り。アメリカで大ヒットを記録した『グリーン・デスティニー』も、ビル・コンさんのプロデュース作品です。
 次々に話題作を手がける、大忙しのプロデューサー、ビル・コンさんに『ラスト、コーション 色、戒』が、いかにしてここまでの作品になったのか、その背景に迫ります。

『ラスト、コーション』のはじまり

『ラスト、コーション』のはじまり
(C)FOUCUS FEATURES,EDKO FILMS/
WISEPOLICY

―まずは、『ラスト、コーション』のきっかけを教えて頂けますか?
「この企画は、(アン・リーの前作で、『ラスト、コーション』と同じく、ヴェネツィア国際映画祭の金獅子(最高)賞を受賞した)『ブロークバック・マウンテン』の撮影が終わった2005年に、アン・リーの方から持ち込まれたんです。アイリーン・チャン原作の短編小説を映画化したいと」
―ビル・コンさんは、『グリーン・デスティニー』でもアン・リー監督と組まれていますね。
「アン・リーとの最初の出会いは、(アン・リーの監督デビュー作の)『推手』(92)。その時は、配給の立場で、この作品を買ったんです。それから、彼の映画は全部買いました(ビルさんは、香港のインディペンデント系映画会社EDKO FILMSの代表)。それで、親しくなったんですね。『グリーン・デスティニー』(00)を作った時期は、中国映画も低迷して、誰もお金のかかる時代劇はやろうとしなかったんです。アン・リーも僕も、お互いに大変だったけれど、それでも、なんとかお金を集めて、完成させました。結果的に、あんな伝説的な映画になるとは思わなかったですね」

アン・リー映画の魅力

アン・リー映画の魅力
(C)FOUCUS FEATURES,EDKO FILMS/
WISEPOLICY

―『グリーン・デスティニー』がヒットして、今回、『ラスト、コーション』が完成しましたが、これまでのアン・リー映画の中で、この映画はどんな位置づけにあると思いますか?
「これまでで一番重要な作品だし、ベストだと思っています。『グリーン・デスティニー』より、さらに、しかも、ずっといい。チャン・ツィイーも、『グリーン・デスティニー』の頃は新人だったけれど、今回、タン・ウェイも新人。チャン・ツィイーもよかったけれど、タン・ウェイの演技はそれに勝ってよかったと思う。考えられないほど素晴らしい演技でしたよね。誰も到達できないような。アン・リー渾身の演出にしても、この映画は『グリーン・デスティニー』を上回ったと思います。本当に、これまでの彼の作品でベストですね」
―アン・リー監督の映画は、役者さんが他の映画で見せたことのない表情をしますよね。
「そうですね。それは、彼自身も演技の勉強をしていたからだと思います。アン・リーは、大学で4年間、演技を学んでいたから。演技に関して、基礎があるんですね。だから、俳優の魅力を引き出すのが、本当にうまい。俳優と仕事をすることを、彼は心から愛しているし。すごく忍耐強いんです。同じ場面を、13回でも14回でも、平気で何度も撮影する。そうやって、ベストの演技を引き出す。だから、多くの俳優が、彼との仕事をしたがるんですね。世の中には、2テイクくらいしかとらない監督もいるから(笑)。もう終わり!?って、俳優も楽しめない(笑)」
―アン・リー監督の現場にいらっしゃると…
「彼は、俳優と組んで、その俳優の魅力を引き出す、ということに関して、ベストの監督だと思います。じっくり時間をかけて、忍耐強く引き出す。そこで生まれるドラマ、演技には、特筆すべきものがあると思いますね。本当に、細やかな演出をするんです。たとえば、視線のひとつをとってもね」

この映画は、ドリーム・チームなんだ

この映画は、ドリーム・チームなんだ

―ところで、キャスティングにはどのくらい時間がかかりましたか?
「トニー・レオンとワン・リーホンは、時間がかからなかったですね。トニーは、アン・リーとの仕事を望んでいたから。でも、タン・ウェイを見つけるまでには、ちょっと時間がかかりました。あれは、彼女にとって初めての映画出演でしたからね。彼女を見つけられたことは、本当に幸運だったと思います」
―タン・ウェイさん、本当に素晴らしかったですね。
「彼女は、素晴らしい女優だけど、その前にひとりの人間としても本当に素晴らしいんです。彼女はいま、27歳。人として成熟しているし、物事に理解が深いんですね」
―この映画には、ビル・コンさんがプロデューサーとして望む、すべての要素が入っているそうですね。
「この映画は、ドリーム・チームなんです。トニー・レオンはもちろん、撮影のロドリゴ・プリエト(最近だと、『バベル』もこの方が撮影しています)をはじめ、スタッフも想像できるベストのメンバーを揃えることができた。台湾の金馬賞で12部門でノミネートされたのも、そのお陰だと思います。本当に、皆で時間を超えて働いた。ありがたかったですね」

とにかく回転が速く、軽快な早口でお話されるビル・コンさん(そういえば、ジェリー・ブラッカイマーさんもそうでした)。ポジティブな空気が、またたく間にその場に広がるよう。これが、いくつもの企画を同時に抱えるプロデューサーのテンポなのかも!?
「中国人は、あんまり働かないからね。その分、僕が働いているんだよ(笑)」。
春には、チャン・イーモウ監督と組んだ『王妃の紋章』が日本で公開。日本のアニメを実写映画化した『Blood:The Last Vampire』の製作も手がけています。その勢いは、止まりません。

写真・取材・文:多賀谷浩子

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