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この人が旬!Vol.2  小栗旬 『サーフズ・アップ』インタビュー

この人が旬!Vol.2  小栗旬 『サーフズ・アップ』インタビュー
INTERVIEW
『サーフズ・アップ』
小栗旬
この冬公開される映画『サーフズ・アップ』。CGアニメが毎年公開される昨今、ペンギンがサーフィンするCG映画と聞いても、いまひとつピンとこない人も多いかも。けれど、この映画は観てビックリ。子供はもちろん、大人が観ても面白い。どちらかといえば、サーフィン映画、音楽映画のノリ。ロックでピースな波乗り映画なのです。ペンギンたちも、ボディにハワイのお花のタトゥを入れちゃったりして、かなりいかしてます。PV風、ドキュメンタリー風の作りも面白い。カメラがブレたり、登場人物がオフレコでリアルな一言を漏らしたり。こんなアニメ、なかったなと思わせる遊びがいっぱい。主人公のペンギン・コディが、憧れの伝説的サーファー“ビッグZ”との出会いを通して成長していく爽快な物語。そんなコディの吹替を「さすが!」のナチュラルさであてている小栗旬さんに、吹替秘話やこの作品の魅力についてお伺いしました。

スタートは、シャイア・ラブーフ!

スタートは、シャイア・ラブーフ!
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「今回は最初、シャイア・ラブーフ(『トランスフォーマー』で注目された、ハリウッドの若手俳優)みたいな渋い声で作ろうと思っていたんです。でも、現場でやってみたら、もうちょっと子供っぽくしてほしいって言われて(笑)。そんな軌道修正からスタートしました。でも、その後は監督さんと一緒に探りながら、すんなり作っていけましたね。難しかったシーン?全体的に難しかったです。他の登場人物が喋っているところに、被せて喋ることがすごく多いんです。自分のタイミングが来たから喋る、というのではなくて。やりながら、「あ、いま俺しゃべってるんだ」みたいなことがすごく多かったので、本当に難しかったですね。普通の芝居のときは、体を動かしながら喋っているので、人が喋っているところに被せて喋るのも、特に大変じゃないんですけど」

これまでも声優経験のある小栗さん。今回は、事前に渡された映像を見ながら、どのタイミングで喋り出したらいいのか、台本と合わせながらかなり練習をしたという。映画を観るとわかるのだけれど、コディの微妙な表情の変化に、声がぴったり呼応している。小栗さんが声をあてているということを忘れるくらい、ほんとうにナチュラル。

役者のことば

役者のことば

そんなナチュラルな吹替の背景に感じられるのが、小栗さんの言葉に対する敏感さ。たとえば、今回の『サーフズ・アップ』は、もともとの台詞は英語なのだけれど…。
「英語で表現されている一言の単語に対して、日本語でまた違ったニュアンスの言葉があるんですよね。英語では何気なく流せる言葉でも、日本語だと何かの意味がつくんですよね。たとえば、英語でYou knowを繰り返しても、そんなに意味は生まれない。でも、それが日本語で「え」になっていたりすると、“You know”と「え」ってちがくねえ?って。英語のアヤというか、そんなに意味に影響しない言葉が、英語にはすごくたくさんあると思うんですけれど、日本語ってあまりそういうの、ないじゃないですか?「なに?」って言ったら、そこにはもう何か意味が生まれるし。今回、そういう言葉がいっぱい入っているんですよ」

蜷川舞台のおびただしい数の美しい日本語台詞を、肉体化して人の心に届けている小栗さん。やっぱり、言葉の運んでくるニュアンスにはすごく敏感。以前、誰かが「アナウンサーは、言葉の意味をただしく伝えられる人。俳優は、言葉の心を人に届けられる人」というのを聞いたことがあるけれど、インタビュー中も小栗さんの口から出てくる言葉は温度やリズムを伴って、いまのきもちをそのままダイレクトにのせてくる。俳優の声ってすごい。いい役者は、心と声をつなぐパイプに、不純物がないんだな。

憧れの人との出会い

この映画の核になっているのが、若者コディと憧れの伝説的サーファー、“ビッグZ”との出会い。コディはGと出会い、迷いを抜け出し、サーフィンの楽しみを知り、成長していく。小栗さんにとって憧れの人とは?
「単純に人として憧れているのは、香川照之さん。僕と香川さんはタイプも全然ちがうので、香川さんのような役者になりたいといっても、違ったアプローチで近づいていかないといけないと思うんですけれど」
たしかにタイプは違うけれど、本能の役者という点で似た迫力を感じさせるおふたり。では、これまで自分に大きな影響を与えた人との出会いは?
「けっこういっぱいありますね。毎回、人に影響を受ける人なので。かっこいいなと思った人は、すぐに影響されるし。そういうことでガキの頃からずっと形成されてきている感じがします」
ちなみに小栗さん、最近「かっこいいな」と思ったのは、『スキヤキウエスタン・ジャンゴ』の安藤政信さんなのだそう。

サーフィン映画としての魅力

サーフィン映画としての魅力

この映画の見所のひとつは、ノリのいいリズム。そしてそれにのって涼しさを運んでくるきれいな波。CGで再現するのにいちばん高度な技術を要するもののひとつ「水」を本当に精密に再現。高波の中のチューブなんて、本当にきもちいい。小栗さんも実際にサーフィンをするそうですが。
「サーフィンの醍醐味は、登山やスカイダイビングと同じように、自然と遊ぶということ。人間の生きる力をくれるというか。もちろん、自然はすごく怖いものでもあるけれど、無機質な都会にいるときよりも深呼吸ができる。そこが、俺はサーフィンやっている理由ですね。そういう視点でいえば、波の映像もすごいし、コディとビッグZがサーフィンを楽しんでいて、そこに音楽が入ってくる。この映画を観たら、サーフィンやりたくなっちゃうんじゃないかと思います」

小栗さんが声をあてているコディのキャラクターも、忘れてはならない魅力のひとつ。小さなボディに果敢なハート。ふさふさの毛並とまだ恐れを知らない純粋さ。「コディの魅力は、憎めないところじゃないですか?ピュアなところだとか、一生懸命さだとか」。この映画を観終わったあと、個人的にはフジロックで3日間過ごした直後のピースなキモチを思い出しちゃいました。自然、音楽、リズム…サーフィンと通じるものがあるなぁと。そんな素敵なキモチがいっぱい詰まった作品です。

取材・文:多賀谷浩子

『サーフズ・アップ』
12月15日(土)よりスカラ座ほか全国ロードショー!

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